2011/08/25

軽井沢千住博美術館オープンに先立って (西沢立衛建築についてほんのちょこっと考えてみた)



美術館オタクにとって、これ以上嬉しいニュースはあまりありません。
軽井沢千住博美術館のオープンの知らせである。現在沖縄に在住しているが、すぐにでも飛んでいきたいほど楽しみな美術館。
http://senju-museum.jp/

日本国内において、西沢立衛氏が手がけられた美術館(アートミュージアム)は、3つとなりました。また、それぞれの特徴は三者三様だと思います。


十和田市美術館

豊島美術館

軽井沢千住博美術館

サイトスペシフィック(※1)度で整理してみると、

豊島美術館>十和田市美術館>軽井沢千住博美術館


となると思います。

これまでの豊島美術館、十和田市美術館においては、アートと美術館が誕生するタイミングがほぼ同じ。つまり、建築とアートが一体的に創造・計画されたものです。
一方で今回、オープンする軽井沢千住博美術館は、元々存在するアート「千住博の絵画」を展示する美術館となります。(中には、今回の美術館オープンを記念して制作された絵画もあるのかもしれませんが。)
わたくし、1美術館オタクの楽しみなポイントは、そこにあります。つまり、場所性を有しない(あるいは、強烈な場所性を、外の環境とは関係なく、絵画の中に含んでいる。)絵画に、西沢立衛建築がどう寄り添っているのか。また、千住博という美の巨人とどう対話し、空間を創りだしたのか。
非常に楽しみです。

実際に、美術館を訪れた際には、自身のファインダーで美を切り取りながら、思う存分体感したいと思います。



※1 サイト・スペシフィック
美術作品が“特定の場所に帰属する”性質を示す用語。といって、美術作品にとって“特権的な場所”であるはずの美術館の機能を補完するのではなく、逆に批判するために用いられることが多い。展示空間全体をひとつの作品に見立てる「インスタレーション」や、「ミニマリズム」の純粋形式に対する反発として登場した「プロセス・アート」、公共空間における美術作品の意味を問う「パブリック・アート」といった新しい表現形態の本質とは不可分の関係にあり、1950年代末から60年代初頭にかけて台頭したこれらの形態は、作品の「場所」や「構造」といった問題を問いかけることになった。なお、場所の唯一性を意味するということで言えば、歴史的経緯は異なるものの、現象学的な問題を共有する建築用語、「ゲニウス・ロキ」との類似性を指摘することができる。
(暮沢剛巳)

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